2011年 11月 08日
『屋久島ダイビングライフ』 【HP】 ![]() 矢筈岬(1953年) 屋久島町歴史民俗資料館写真引用 “1783年に始まり屋久島、種子島東部、馬毛島で行なわれた浮敷網トビウオ漁は海藻減少、海流、海水温度変化や 生活排水増加など戦後日本の高度成長に強く影響され時期とびが接岸することがなくなり1980年に終焉した” 屋久島町歴史民俗資料館資料参照 一体何の話かと言えば屋久島の昔の海がどんな海だったのかと言う話。 おじいちゃんに聞くと昔は人が乗れるほど海藻が茂っていてそこにトビウオが産卵に来ていたとのこと。 人が乗れるほどの海藻!?現在の屋久島では一番目立つもので背丈4~50cmにまで成長するミル。 あとは20cm程度のシワヤハズやカギケノリくらいだろう。 そんな話を何度も聞いていたけどにわかには信じられなかった。そこで今日は歴史民族資料館へ行ったり当時から海に潜っている方にお話を伺ってきた。 まず海藻は確かに屋久島中を覆う様にたくさんあったようだ。写真では見つけられなかったけど、ホンダワラ(の仲間?)が浅瀬には高密度で茂っていたらしい。 トビウオ(ツクシトビウオ)はこのホンダワラを産卵床として夜中頃に来て明け方に沖合いへ帰っていく、 それを待ち構えて網で捕まえるのがトビウオ漁で写真↑の図になる。 この写真はいっつも体験ダイビングをしている元浦のやや沖合い。トビウオが産卵していた場所は 年によって異なったらしいが、元浦の湾やその辺りの沿岸だったのだろう。 そこにはホンダワラが覆い茂っていて干潮時にはホンダワラは水面に露出し人が渡れるほどだったのだろう。 ![]() 矢筈岬(2011) トビウオ漁の最盛期がたしか50~60年前でそれから徐々に減っていき今から31年前の1980年には海藻がなくなり、トビウオ漁(時期とび漁)は終わった。 ちなみに現在でも屋久島では日本一のトビウオの水揚げ量をを誇るがそれは沖合いで捕まえているので昔のトビウオ漁とは方法も違うし取れるトビウオの種類も同じではない。 1980年以降でも隣の口永良部島ではホンダワラが茂っていたようだけどやがてそれもなくなった。 現在では屋久島近海ではそのような光景を見ることはできない。(タイドプールなどで極僅かに見られるとの話は聞いたことがある) ここで僕が一番に気になったのは当時の屋久島の海の生き物達だ。 ホンダワラがあるのならばメバルやカサゴもいたのか?サンゴはもっと少なかったのか? 水温はもっと低かったのか?などなどだ。 まずサンゴについては今よりも豊かだったとのことだ。一人の話ししか聞いていないので確かではないが少なくともたくさんあったらしい。 水温は文献にも僅かに載っていたがほぼ変わっていないようだ。 そして生物層、、、これは謎。だって屋久島でメバルって言ったらハタ科の生き物のことをいうし、人によって呼び名が違うし、和名なんてほぼ使われていないしで全く分からない。 なんか良い資料でもないかな、、、。 とにかく昔の方が海藻も多くサンゴも多く、魚の数は10倍いたらしい。 一応僕の見解を書いておくと、ホンダワラ消失の原因はやはり水温変化ではないかと言うこと。 昔も海は暖かかったというし、文献のある一日のデータでは確かに水温は今とあまり変わっていない。しかし水温は日々変化するので一日ではあまり意味がない。 例えば年平均で0,5℃も違えばホンダワラが消えるには十分な変化なのかもしれない。 現在でもどこどこで磯焼けが起こり海藻がなくなりアワビやサアエが取れなくなった、との話を耳にする。 水温のほんの僅かな変化が海の生態系を大きく変化させるのではないだろうか? 水質汚染であれば屋久島よりも本土にあるホンダワラが今も茂っているのが不思議だし、海流の変化とは今一つピントこない。 一体この数十年で屋久島の海はどれほど変化したのだろうか。 今一番潜りたい海を言えと言われればガラパゴスでも南極でもなく60年前の屋久島の海だろう。。。 どこの海へ行ってもおじいちゃん達は口を揃えて言う。 「昔は良かった」と。 「昔の海は魚で海が見えなかった」と言った人もいた。 「今の海は魚がいない」とも。 そんな時、僕いつもは羨望と失意の入り混じった複雑な気持ちでその話を聞いている。 せめてあと30年早く生まれていれば、、、。 一体どんな海が広がっていたのだろう。 まだそんな海はこの世に残されているのだろうか。 あるいはこれから先そんな海へ戻ることがあるのだろうか。 少なくとも僕がよぼよぼのジジイになる頃には子供たちに今の海は豊かで美しいと伝えたい。。。 なんでこんなこと書いているかと言えば全然もぐれてない!! 風邪で完全にダウン、、、渋々病院へ行き抗生物質をもらいようやく復活してきた。 調子が悪い中無理して潜っていたので副鼻腔炎っぽい症状になった。 風邪の時は無理は止めましょう~。。。 『屋久島ダイビングライフ』 【HP】
by yakuumi
| 2011-11-08 21:22
| その他
|
アバウト
『屋久島ダイビングライフ』
お店HPはこちらです↓↓↓
『屋久島ダイビングライフ』 写真集「屋久島 豊饒の海」 発売中です!詳しくはこちら↓↓↓ 『屋久島水中・自然写真 高久至写真事務所』 〒891-4204 熊毛郡屋久島町志戸子181-80 電話 0997-42-0174 携帯 080-2712-8019 以前の記事
2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 03月 2020年 02月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 02月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 カテゴリ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
画像一覧
|
ファン申請 |
||