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屋久島ダイビング日記

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2012年 06月 03日

もしかして、、、食べちゃった!?

『屋久島ダイビングライフ』 【HP】

【ポイント】  春田浜 / タンク下  【 天気 】  雨  【 風向 】  東  
【 水温 】  24.2℃  【透明度 】  20~25m  【 潮 】 大潮

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アカハラヤッコ産卵
タイドプールではロウソクギンポが婚姻色を出していて求愛行動が少しだけ見られた。
でもあまり活気はない。ってか天気が悪すぎる。
予報では晴れだったのに雨降りまくりだし!!

さて今日も日課ともなりつつあるサンセット&ナイトへ出かけてきた。
アカハラヤッコとアブラヤッコの産卵を確認。
小型のキンチャクダイ科の魚は毎日産卵なのでこの時間の観察の定番種だ。
でも中層にアミ(プランクトン)が多くてハレーションだらけ。。。



もしかして、、、食べちゃった!?_b0186442_1602756.jpg
スダレヤライイシモチ
数日前に僕を痛快に振ってくれた子を発見!
すでに新しい卵を咥えていた。
ちょっと見辛いけど卵の色が分かるだろうか?白っぽい色をしているのが卵だ。
そうスダレヤライイシモチの卵は白いのだ。実はこれが結構厄介。
キンセンイシモチやアオスジテンジクダイなんかは生まれたての卵はオレンジっぽい色をしている。
オレンジ色の卵は発育が進むにつれて徐々に透明になっていくので発育状況が分かりやすいんだけど
卵が白いと判断が難しいのだ。

まぁそれは置いといて繁殖期のテンイクダイのオスとメスは簡単に見分けられる。
オスは口の中で卵を保育するので顎が大きい。メスのお腹は卵がたっぷり詰まっていて大きい。
パッと見ればすぐに分かってしまうものだ。
写真のスダレヤライイシモチは卵を咥えているから当然オスだ。

しかし、、、。



もしかして、、、食べちゃった!?_b0186442_1604143.jpg
スダレヤライイシモチ(口内保育)
あれ、顎が大きいけど、お腹も大きい。。。(もう少し後ろから見るともっと大きく見えました)
テンジクダイの仲間は大食漢ではないのでどんなに餌を食べても平時こんなお腹になることはない。
少なくとも繁殖期以外でこんなメタボなテンジクダイを見たことはない。
ではなぜだろう。
5月30日に恐らくハッチアウトしているのでこの時まで丸4日間。
卵ま咥えたてほやほや。随分と時間が空いている。
このオスのお腹の大きさは産卵前のメスのお腹の大きさと同じくらい。。。

もろもろを考慮するとこのオスは前回のハッチアウト後にメス(A子)から卵を受け取ってそれを食べたのだろう。
そして今咥えているのは他のメス(B子)から受けとった卵なのではないだろうか。

テンジクダイのオスが保育している卵を食べてしまう話は比較的有名だけど現場を目撃するのは難しいし、解剖なんてできないので確かめるすべがなかった。
でもようやく納得できた気がする。
もとろん確かめるすべは僕にはないが食べたとほぼ確信している。

同種の卵を食べることはそれだけを聞けば残酷なように思われるけど生きていくための手段なのだ。
詳しくは割愛、ネットででも調べてみてください。

こうして納得した上でこのメタボなオスを見てみるとその背景にあるドラマなんかが見えてきて
海の世界をぐっと身近に感じることができるものだ。


『屋久島ダイビングライフ』 【HP】

by yakuumi | 2012-06-03 15:57 | 一湊タンク下


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